シナリオ 息子の部活サッカー2019-2020シーズン

私は、40代のサラリーマン。今一番の楽しみは中学生の息子がやっているサッカー部の試合を見る事です。
現在、息子は中学2年生。SN中学サッカー部ではおかげさまで攻撃的なポジションのレギュラーです。息子のサッカー部は3年生が3人しかいないので(しかも残念ながら上手なのは1人だけ)、2年生の息子もレギュラーになれるのですが、逆に1年のフィジカル差が大きくものをいう中学サッカー。どうしても息子のサッカー部は弱小チームとなってしまうのです。
ちなみに息子は足も速く、点もとれる選手なのですが、最近点がとれなくなってきているのが、私的に少し気になっていました。

昨年9月
私「今日の練習試合どうだった?」
息子(くー)「まあまあだった」
私「点取れた?」
息子「取れなかった」
私「そう」

その夜、その日仕事で練習試合を見れなかったかわりに息子の試合をビデオカメラで撮ってきてくれた妻から

妻「私あんまりサッカー知らないから何ともいえないけれど、くーはボール後ろに蹴ってばっかりなんだけど。」
私「ポジション的にフォワードだとポストプレーていうのがあるんだけどそれかな?でもプレー見てみないとわかんないな」

夜ビデオを見たところ、くーのその日のポジションは左サイドハーフ。あまりポストプレーをするポジションではありません。むしろドリブルで前に仕掛けていくポジションです。

私「トラップがまたうまくやれてないな」
私「トラップでもたつくからディフェンダーにつめられて次のプレーにいけなくて後ろに戻してしまうんだ」
私「元々トラップ得意じゃないからな。練習するしかないな。あと左サイドハーフなら1対1も練習するべきだな。俺野球出身だからサッカーうまくないけど、ディフェンスの相手くらいできるかな?あとくー右利きなのに左やってるから左足キックの練習も必要だな。やること多いな」

次の日夜家で

私「くー、トラップ練習やるか」
息子「家で?」
私「狭いけどまあやってみよう」
私(ボールを投げて)「トラップ」
息子「あれ?」
私(ボールを投げて)「もう1回」
息子「よし」
私「次、左足キックの練習。家壊れないように新聞紙でボールつくったから」
息子(キックして)「あれ?」
私「もう1回」
息子「よし」
私「次、1対1」
私、息子「えいえい」

こんな感じでほぼ毎日2人で練習。10月の新人戦を迎えます。


私「今日見に行くから。」
息子「うん」

初戦のSM中学戦。息子はあいかわらずバックパスを繰返し、後半途中で代えられてしまいます。試合も0-3で負けてしまいました。

試合後
私「くー、みんな気を使ってパスと声かけてくれるけど、くーの怖さはスピードだからいけるときはドリブルしかけていいと思うよ。」
息子「最後そうしたよ」
私「それを続ければいいじゃないかな

息子「…」

その日の2戦目はSK学院中等部戦
私「さっきの感じだとスタメン外れても仕方ないかな?」
私「あっ、出てきた。とりあえずスタメンか」
私「あっ、始まった」
私「あっ、トラップずれたな。でもドリブルで仕掛けたな。いいぞ」

でもその試合の途中で
私「あっ、クリアボールがくーの手に」
私「えっ、ペナルティーエリア内。PKか」
私「あっ、決められちゃった。くー、メンタル大丈夫かな?」
私「あっ、でも頑張って仕掛けているぞ。あっシュート打った。あー惜しい。」

くーのシュートはこの試合のSN中学ファーストシュート。入ってもおかしくないシュートでしたが、相手キーパーのファインセーブにあってしまいました。そしてそのまま前半は0-1で折り返しとなりました。

私「落ち込まないでプレーできて偉かったな」
私「でも後半でれるかな。PKとられちゃったし」
私「あっ、出てきた。後半でれるんだ。」
私「あっ、ポジションが違うぞ。ワントップだ。」

残念ながら後半3点とられてスコアも0-4。それでもくー達SN中学は諦めず点をとりにいきます。そして終了間際。

私「あっ、ゴール前にくーが絡んでる。」
私「あっ、くーにボールが」
私「あっ、クリアされた」
私「あっ、セカンドボールがSN中学にこぼれた」
私「シュートした」
私「入った」

諦めないSN中学、公式戦初得点。しかし試合は1-4で終了。初勝利は来週に持ち越しとなりました。

次の火曜日。
私「くー、手どうしたの?」
息子「骨折した」

次の土曜日。
SN中学0-10SO学園中等部
SN中学0-4MW中学

SN中学、公式戦初勝利はお預けとなりました。骨折したくーも当然試合にはでれませんでした。
SO学園中等部は、全国レベルだけにくーも残念がっていました。

私「くー、1月の公式戦目指して頑張ろう」

その後も家練習を続け、1月の公式戦を迎えました。

初戦はKZ中学
私「くーは、今日も左サイドハーフか」
私「あっ、試合始まった」
私「あっ、1点とられた」
私「あっ、また点とられた。0-2か」
私「あっ、くーにボールが。くー、ナイストラップ。くー速い、キーパーと1対1。あーファインセーブされた」
私「残念。くーの公式戦初得点はならなかったか」
私「あっ、またくーにボールが。くーナイストラップ。くー速い。あっ、くー倒された。PK獲得。誰が蹴るんだ。」
私「くーが蹴るのか」
私「あっ、キーパーにPKとめられた」
私「残念。またくーの公式戦初得点はならなかったか」

しかし次のワンプレー

私「くーがパスカットした。キーパーと1対1だ。」
私「シュートした。入った。」

くーの公式戦初得点でスコアは1-2。後半もSN中学は攻めましたが残念ながらそのまま1-2で終了となりました。

私「次は公式戦初勝利だな」

しかし次は強豪私立TT中学。くーのスピードは通用したもののくーも点が取れず、チームも1-10で敗れました。

私「初勝利は来週だな」

次の週の1試合目は強豪クラブチームNR

結果は
SN中学0-7NR
公式戦初勝利は次の試合に持ち越しです。

私「次の相手はと」
私「またSK学院中等部だ」

私「くーのポジションは、今回も左サイドハーフか」
私「試合始まった。」
私「あっ、点とられた」
私「あっ、また点とられた」
私「あっ、またまた点とられた」
私「前半終わって0-3か」
私「後半始まった」
私「また点とられた。0-4か」
私「あっ、点とった。1-4か」
私「もうすぐ試合終わりか」
私「あっ、くーの前にボールが」
私「くー、左足でダイレクトで打った。あっ、入った」

練習してきた左足で、SK学院中等部戦でくー初得点。しかし試合はまた点をとられ結局2-5で敗れました。

初勝利は4月の公式戦までお預けだな。

しかしまさかの世界的流行り病が発生し、息子も学校すら行けない状況になってしまいました。当然4月の公式戦も中止になってしまいました。

私「夏の中体連もどうなるかわからないな」

やはり中体連自体は中止。しかし何とか簡易な形で代々大会が行われることとなりました。

私「くー、3年生のために何とか1勝したいな」
息子「うん」

SN中学も外部コーチを招聘し、ディフェンスを強化。何とか1勝を目指します。

中体連代々大会は簡易な変則トーナメントとなりました。初戦に勝てば次がありますが、負ければ次の順位決定戦で終了です。さて初戦の相手は、

私「まさかのSO学園中等部か」
息子「楽しみだ。前回やれなかったし」

そして試合当日、SO学園中等部戦は敗れはしたものの、ディフェンス強化の成果もあり0-3で終了。新人戦よりは格段によくなりました。ただ息子は

息子「何もさせてもらえなかった」

との事でした。

そして気になる最終戦の相手は、

私「えっ本当に?」

最後の相手はまたまたSK学院中等部。この代は、SK学院中等部と何か因縁的なものを感じますね。それなら最後の最後で劇的な1勝なるか?期待と不安が入り交じります。

私「あれ?」
私「くーがスタメンにいないぞ」

そう、この代々大会は大会規定で3年生を優先で試合に出すことになっているのです。ここまで上手な2年生もかわるがわるベンチスタートとなっていましたか、ここにきてくーのベンチスタートとなったわけです。

私「でも構わない。3年生に1勝を」
私「おっ、ディフェンス頑張っているぞ」

試合は押し込まれながらも、ディフェンス強化の成果もあり、ギリギリで失点を防ぎ、何とか0-0で折り返しました。

私「あと半分がんばれ」

後半もくーはベンチスタート。試合はあいかわらず押し込まれながらも、何とか失点を防ぎ試合中盤まできました。

SN中学ベンチより「審判、選手交代」の声が、

ピッチサイドにはくーの姿が。そしてゆっくりとピッチに入ってきました。

私「ポジションはワントップか」
私「とにかくがむしゃらにがんばれ」

くーが入ったSN中学は、その後も押し込まれますが何とかしのぎます。でも試合はもう終盤。

私「このままPK戦までいくのかな?」

そう思ったとき、SN中学の右サイドにボールがながれます。SN中学右サイドハーフの選手が必死に食らいつき、何とか中央にグラウンダーのクロスを送ります。

私「誰か合わせられる選手は?」

ニアではSN中学の選手が潰れています。その分ファーにスペースが

私「ファーに選手は?」
私「くーだ」

ファーにはくーが走りこんでいます。ただ相手センターバックもしっかりついてきます。

私「この1対1負けるな」

スピードで一歩勝ったくーが泥臭く左足を伸ばします。ボールは足にあたりそのまま相手ゴールに吸い込まれました。

私「決めた」

くーの周りに選手が集まります。みんなに喜びの表情が。でもまだ試合は終わっていない。緊張の表情も残っています。

私「いいぞ。油断するな。まだ終わってないからね」

相手は最後の怒涛の攻撃を仕掛けてきます。相手の中心選手が中央でドリブル。でも3年生が必死に体をはります。

私「抜かれた」

でももう1人の3年生がカバーに入ります。

私「打たせるな」

私の思いもむなしく、シュートが打たれてしまいます。しかもしっかり枠をとらえています。

私「やられた」

しかしさらにもう一人の3年生がギリギリでシュートをクリアしました。

私「やった」

そしてここで試合終了のホイッスル。今度はみんなに最高の笑顔がこぼれました。

その夜

私「3年生、最後勝てて良かったな」
息子「良かったよ」
私「でも明日からくーの代だな」
息子「そうだね」

こうしてくーの2019-2020シーズンが終了しました。そして2020-2021シーズンがスタートします。